小売業たるチェーンストアは、本来モノを売って利益を獲得してきたわけである。
だが近年では、リージョナルーチェーンを中心にフォワード・バイング(メーカーのディールアイテムを安い時にできるかぎり大量に仕入れること)やダイバーティング(最も安く仕入れられるディビジョンで他の分までまとめ買いし、他のディビジョンへ横流しすること)などが行われている。
モノを買うことによっても、あるいは、ただ広いスペースを所有するだけでも利益をあげるような性格を強めていると思われてならない。
最近、注目されているホールセールクラブやディープディスカウントードラッグストアなど、オルタニティヴーフォーマット(代替業態)の躍進に対抗するため、また、フォワード・バイング等、伝統的なトレードーリレーションの反省もあって、最近ではECR(エフェシェントーコンシューマーリスポンス)の導入が検討されている。
一方、M&Aを背景として、店舗の大型化、複合業態の開発等により一段と企業力(パワー)を強めてきた米国の小売業界は、当然のことながら運営にかかる各種コスト負担の割合も大きくなっている。
人件費を含めた販売コストが上昇の一途をたどる状況の中で、小売業がオペレーティングーコストを吸収し、利益を獲得していくためには、サプライヤーとしてのメーカーからも相当のコスト負担をさせるべきという考え方が必然的に発生してきている。
メーカーから小売業へとパワーがシフトしてきた現在、小売業の店頭という貴重なスペースを借りる立場にまわったメーカーとしては、小売業からのスロッティングーフィー(新商品の導入に要する小売業のオペレーティングーコスト)やフェイリュアーフィー(新商品導入にかかわる死に筋商品となった場合の販売機会損失補てん金)など様々な要求を受け入れざるを得ない状況となっている。
そうした要求は、小売業の側に流通チャネラーとしての主導権がある限り、どんなメーカーとて全面的に回避することは困難となっている。
小売業の要求額をせめて最小限に留めることしかメーカーとしての方策は見当たらないのが実情であろう。
結局、メーカーは消費者にとって真に価値ある商品を低コストで開発することと、小売業との協働によってインストア(店頭)マーケティングを積極的に展開することにより、パートナーリングの関係を形成することが有効な政策となっている。
以上のように、今日米国の小売業は、貴重な不動産(店頭スペース)を武器として大きなメーカーを揺さぶる段階にまで力をつけてきた。
賃貸の特徴は賃貸の特徴に似る。
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